「~についての説明が不足しています」
「~についての解説もあった方が親切ではないでしょうか」
「~の内容も追加してください」
こんな修正指示を受けたことがあるWebライター、出したことがある編集担当。
聞いてくれ。
CVやPVを目的としているWebメディアのコンテンツは、基本、引き算で作れ。
よかれと思って余計な一文を足すな。その一文が読者の読了率を下げ、離脱を招く。
原稿を見ていて、説明不足な感じがするから、ついつい追加したくなることは多い。決して珍しいことではない、むしろ日常茶飯だ。
そこで、気になる部分にあれこれ追加情報を盛り込み、網羅性もバッチリだ。自信満々で世に記事を送り出すだろう。
しかし、順位やPVに対してCV数は奮わず、CVRも上がらない。よく見ると思ったより読了率も低い。
原因は「無駄な追加情報」だ。
読者は初めてその記事を読んでいることを忘れ、盛りすぎた結果だ。
何度も内容を見てオチまで知っているライターやメディアの担当者と違って、読者は初めてその記事に目を通し、「なるほどーそれでそれで?ふーん?へー…」と思いながら読んでいる。
知りたいことについて次々情報が現われ、なるほどね~と楽しんでいるところだ。
そこに突然、大筋とは言えない内容の解説や追加要素がやってくると、思考がこんがらがってしまい、盛り上がった気分はスンッ…と萎える。
例えばの話だ。
めちゃくちゃ盛り上がって話してる時や、真剣に内容を聞いている時、
あ、今話してる内容とは直接関係ないんだけど、実はこういう話があってさー。
~~で~~~なんだよね。
それでこっちはこれであれはそれで~~。
あ、それで話戻るんだけど、さっきの話の続きなんだけどさ、さっき言ったアレね~。
って言われたら、「関係ないなら今話す必要なくね??」「さっきのって、えっとどれだ?」ってならん?
少なくとも、そこまで盛り上がって頭にいっぱいになっていた話題はすっ飛んでるし、元のテンションには戻れない。
会話ならまだしも、文字を読むという一方通行で面倒くさいコミュニケーションは放棄されやすい。
主題に沿ったもの以外は付け足すな。
主題とは、SEOのメインKWD、中心で解説したい製品、ジャンル。記事の軸になるたった一本の道筋だ。
それ以外については無駄に追記するな。説明不足を感じて追加するぐらいなら、説明が必要な部分を丸ごと削ってしまえ。どうせなくても困らない。
これが鉄則だ。
主題以外の情報について説明不足だと感じても、感じているのは書いている本人だけで、読者はそうでもないことの方が圧倒的に多い。というか、そもそも気にすらしていない。
無理矢理説明を追加したり、注釈を入れるくらいなら、気になる人がいた場合の受け皿として内部リンクを用意しておけばいい。
横道に逸れて気が散った人は、無理に引き留めず、ページを遷移させて、サイト内を回遊させよう。そのうち元の目的を思い出して帰ってくるか、遷移先のどこかでCVする。
良くない例を一つ挙げよう。かなりしんどいと思うが読んでくれ。
簡単に設定できるスマホの海外ローミングは、スマホの操作に不慣れな人や短期滞在予定の人におすすめです。海外ローミングなら、海外SIMや海外Wi-Fiのように、事前に準備する必要がほとんどありません。
海外ローミングは、携帯電話会社のマイページやアプリで機能をオンにするだけで使えます。国内よりデータ通信の料金が高くなりますが、おトクな海外ローミングの料金プランも多数あります。
一方、海外SIMの場合、SIMカードを購入してスマホに挿入したり、eSIMのQRコードを読み込む手間が掛かり、さらに電波を受信するためにAPN設定プロファイルを入手して設定する必要があります。
APN(Access Point Name)とは、スマホと携帯電話会社を繋ぐ中継地点のようなものです。これを設定しないと、海外SIMが使えませんが、スマホの操作に慣れていない人にとっては大変です。
また海外SIMの場合、スマホのSIMロックを事前に解除しておく必要があり、手続きが必要です。プリペイドSIMの場合は、使い切ったら買い足しも必要になります。
海外Wi-Fiは事前に予約して空港で受け取り、到着後に起動して設定しなければいけません。海外Wi-Fiはルーターのバッテリーが切れたら使えなくなるので、常にバッテリー残量に注意が必要です。
加えて、万一紛失したり故障した場合は、高額の弁償金が必要になることもあり、保険に入るととても高くなってしまうこともあるのです。
このように煩雑な手続きや設定が必要な海外SIMや海外Wi-Fiと比較すると、海外ローミングはとても簡単に利用できます。数日程度の滞在なら、あまり利用料金も変わりません。
かなり大げさに書いたから、「こんな記事ねえだろ…」「修正待ったなし…」と思うかも知れないが、似たり寄ったりの追加修正指示を出されたことがある人は多いのではないだろうか。
私なら3段落目の冒頭にある「一方、」以降は全部消す。三分の二をごっそり削除だ。
他の方法のデメリットを示して、訴求したいサービスや商品のメリットへ持って行く手法は定番だが、海外ローミングを使おうか迷って調べに来た人にとって、いらない情報満載だ。APNの説明とか、紛失故障時の弁償金とか、完全に蛇足だ。
そんなもの追加するくらいなら、説明を必要とする内容ごと消してしまえ。
このKWDなら、必要なのは海外ローミングについての情報だけだ。そして逆に、海外ローミングの情報はまったく足りてない。
ということで、追加する価値のある情報を足して修正するなら、私はこうする。
簡単に設定できるスマホの海外ローミングは、スマホの操作に不慣れな人や短期滞在予定の人におすすめです。海外ローミングなら、海外SIMや海外Wi-Fiのように事前に予約や購入などの準備をしたり、空港での受け取りや設定をするような、事前準備の必要はほとんどありません。
海外ローミングは携帯電話会社のマイページやアプリで簡単にオンオフの設定ができることが多く、到着後、電波が入ればすぐにスマホを使えるという便利さがあります。
デメリットとして料金が国内のデータ通信より高くなることが挙げられますが、携帯電話会社ごとに海外ローミングのプランが複数用意されています。到着後、海外ローミング中でも加入できるので、ホテルなどで落ち着いた時に確認してみましょう。
料金面でのメリットは、滞在期間やスマホの使い方によって異なります。詳しくは、海外Wi-Fiの解説もあせてご覧ください。
※あわせて読みたい:海外Wi-Fiのメリット・デメリット!ローミングとの違いや料金、使い方もあわせて解説
SEOの網羅性を間違って解釈している人も多いが、情報に無駄な雑味を足し込むと記事は読み切って貰えない。
メインになるKWDに対する情報の純度を上げ、ニーズに対する不足を補う追加と、メインではない話題に対する情報の追加は、まったくの別問題だ。
一緒くたにすると、無駄に文字数が多く、なにを知らせたいのかわからない記事ができあがる。
重ねて言うが、読者は初めてその記事を読む。
CVまで離脱させないために必要なのは、思考の流れに沿って書くことだ。
なにを疑問に思い、知りたいのか、スムーズに追い掛けていくのが大切だ。
また、必ずしも説明したい順番と疑問の順番が一致するとは限らない。
自分が説明する立場で一から解説したとしても、知らないから知りたい人が疑問に感じている順番に答えないと、「今知りたいのそれじゃない」になってしまうわけだ。
ペルソナに対して「一体なにを疑問に思い、なにをどうしたいのか」を掘り下げ、自分の話を初めて聞く人に納得して安心して貰うためには、なにを話し、なにを話さないのかを考えよう。
話の展開がオタク特有の早口になっていないか、話題が飛び散っていないか、興味が逸れた人の受け皿を用意できているか。
足すより引く方向で情報量を整えることで、こうして最後まで読み切ってくれるというわけだ。お疲れ様、引き続きよいSEOの旅を。