【レポート】毎日文化センターの校閲講座、Webライターに見てほしい内容だった件

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Webライターの仕事をしていると、このようなことを言われたことはないだろうか。

「ここに書いてあることは、事実ですか?」

事実かどうかを調べるために必死で調べたり、ブログの記事を引用してしまって怒られてしまったり、ということも少なくないだろう。

昨今の感染症の件で情報元が正しいかどうかが重要視されている傾向にある。そのため、インターネット上に記事としてアップする前や、書籍として印刷する前に、文章に書いてある情報が正しいかどうかをチェックしなければならない。

こういった情報元をチェックすることをファクトチェックという。

今回は、そのファクトチェックを教えてくれる、「それって正しい? 間違ってる?本の校閲とファクトチェック」という校閲講座を受講してきたレポートをする。

嘘を書いてはいけないWebライターにとって必見の内容だ。

目次

毎日文化センター主催「それって正しい? 間違ってる?本の校閲とファクトチェック」とは?

「それって正しい? 間違ってる?本の校閲とファクトチェック」は、毎日新聞社が運営している毎日文化センター大阪の有料講座

文章の事実関係を確かめるファクトチェックについて語る講座だ。

オンラインで開催されており、Zoomを使って受講するため、スマホやタブレット、パソコンがあれば、どこからでも受講できる。

講師は、一人出版社「ぼっと舎」代表の大西寿男氏。

プロの校正者として、河出書房新社、集英社、岩波書店などの大手出版社を経て、多くの書籍や雑誌の校正を担当されてきた。

本講座では、約1時間30分の講座で、多くのテクニックを語られた。

実際にどんなことをするの?実習課題の答え合わせをしながら進む校閲講座

実際の講座は、以下のように進んでいく。

  1. 受講前にメールで送付される実習課題をやっておく。
  2. 受講時に、実習課題を答え合わせしながら、校閲のテクニックや目のつけどころを教えてもらえる。
  3. 校閲としての心構えを教えてもらう。また、チャットで質問しておけば後日メールで回答していただける。

※有料の講座のため、なるべくネタバレにならないよう伏せて紹介していくので、ご容赦いただきたい。

1.受講前に実習課題が送付される

受講チケットをオンラインで購入すると、受講前の課題として以下のようなPDFのダウンロード先が記載されたメールが送られてくる。


こんな感じ。(※一部伏字にしています)

PDFには、間違いがある文章が書かれており、合計5問記載されている。受講前に自分で誤りを見つける実践的な問題集だ。

講師に提出するわけではないので、自分がわかる範囲だけ書き込んでおけばOK。

自宅にプリンターがない人も印刷できるよう、コンビニのコピー機でプリントアウトできる番号も記載されているので安心。

2.いざ受講日!実習課題を答え合わせしながら、校閲のテクニックや目のつけどころを教えてもらう

受講日当日は、Zoomを使って受講する。

事前にやっておいた実習課題を手元に置いて、Zoomの画面で詳しく解説される答えと照らし合わせていく流れだ。

その時に、校閲者が調べものをするときのテクニックや、事実関係、整合性のとり方など、見逃しやすいポイントも合わせて解説してくれる。

主な内容は以下の3つ。

どこを情報ソースとして利用しているのか?実際に仕事で利用しているサイトを教えてくれる

まず、この講座の大きな特長は、校正者や校閲者が普段調べものをするときに活用しているサイトや、調べる方法を教えてもらえることだ。

たとえば、文章の中に距離が出てくれば国土地理院のホームページで調べ、アポロ11号で月面に着陸したアームストロングがクレーターの上でぴょんぴょん跳ねたと書いてあれば、動画を探し出して確認する。

このジャンルの情報は、こんなサイトで出てきますということも具体的に教えてもらえる

校閲者のGoogle検索テクニック

インターネットが普及してきた昨今、情報元が怪しいことも少なくないので、調べものをするときの難易度は上がってきているという。

誤りがあるサイトがはびこる状況でも、確かな情報を手に入れられるよう、普段調べものに使っているサイトから、Googleでの検索方法のコツまで解説される。

「”文字”」みたいに完全一致検索とか使うのかな?と思っていたら、調べたい文章をそのまま全文検索するなど、想像を超える方法で検索されていたのでめちゃくちゃ驚いた。

校正者や校閲者が調べものをするときに利用するサイトの中で、知らないサイトもあったので目からうろこだった。

文章の整合性のとり方

特に気を付けたいのは、細かいところに気を取られて、全体の整合性が取れなくなっているのを見落としがちなところだ。

たとえば、文章の最初に年数や日付などが出てきたら、あとに続く文章も変えないと整合性がとれなくなっていくという。

推理小説で文中の日付が間違っていると、すべて変える必要があるので、大変な作業になることもあるとか…。

だまされない、誤らせないために調べよう。校正者、校閲者の心構え

「だまされない、誤らせない」ために調べる。

そのために調べる力と習慣を身につけようという考え方や、「感情と距離を置く」という考え方は非常に感銘を受けた部分。

校正者や校閲者が言っていることが何もかも正しいのではなく、文章を執筆する人と校正者や校閲者が自分と違う価値観や感性とどう接するかが重要だと教えていただいた。

うーん、深い。

Webライターが受講するメリット4つ

Webライターにおすすめしたいメリットは以下の4つ。

1.高度な検索技術を知れる

1つ目は、Googleで検索するときにどんな検索ワードで調べるかということだ。

インターネットで検索して調べるにもどんな検索ワードで調べたら出てくるか、アタリを付けなければ情報を見つけることもままならない。

この講座では校閲者がどんな検索ワードで調べているか、着目するべきはどういうところなのかを解説してくれた。

2.普段校正者や校閲者が調べものに使っているサイトを知れる

2つ目は、プロの校正者や校閲者が、普段調べものに使っているサイトを知れること。

官公庁のサイトから、図書館のサイト、場合によってはWikipediaや個人サイトも利用して、あらゆる情報から二重、三重のチェックを行う。

知らないサイトがあったのですぐにブックマーク登録したほどだ。

個人的にはこの話が一番参考になった。

3.校正者や校閲者が見る目のつけどころ

3つ目は、校正者や校閲者が普段見ているところを知れること。

書籍や新聞に限らず、Webライターが書く記事でも、誤りがある記事を世に出してしまっては、読者をだましてしまったということになりかねない。

校正者や校閲者の話を直に聞けるのは大きなメリットになるだろう。

4.プロの校正者や校閲者に直接質問できる

受講している時間の途中でも、チャットを使って気軽に質問ができる。

普段から判断に迷うところや、受講中にわからないことがあれば、なんでも聞いて構わないのだそう。

プロの校正者や校閲者に直接質問できる機会などそうそうないので、大きなメリットのひとつだ。

毎日文化センターの校閲講座をおすすめしたい人

校閲講座をぜひ受けてほしいのは以下のような人。

  • 「これは事実ですか?」と書かれたことがある人
  • 情報収集の方法に不安がある人
  • 記事の品質を上げて、信頼を勝ち取りたい人

受講方法は?アーカイブは公開されていない

残念ながら、受講日を過ぎたらアーカイブなどの見逃し視聴はできない。

同一内容で2度の開催もないため、見逃した場合はあきらめるしかない。

次回の校閲講座はいつ?2022年秋ごろ!

毎日文化センター大阪が主催している校閲講座は、不定期で開催されており、毎日新聞社の現場で働く校閲者や、外部から招いたプロの校正者が講師としてセミナーを行っている。

主な講座内容は、誤字脱字の見つけ方、事実関係をチェックする方法など。初心者にもわかりやすく解説してくれるため、校閲の仕事がわからない人でも遠慮なく講座を受けられる。

ZoomのアプリとアカウントがあればWebカメラやマイクも必要ない。

次回は、毎日文化センターで2022年秋ごろに校閲講座を開催予定だという。

次回の校閲講座の詳細が決まり次第、毎日文化センターのTwitterで告知されるため、フォローしてみてはいかがだろうか。

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