こんにちは、おたよりです。
最近よく聞こえてくる「これからの時代はインタビューができるライターが重宝される」という言葉。
いろんなところから聞こえてくる。そりゃもう四方八方から。めっちゃTwitterのリツイートで回ってくる。
しかし思ってることがありまして。
インタビューの技術を知る機会、少なすぎない!?
現役インタビューライターのばぶちゃんでさえ、こう言っているくらいだ。そもそもインタビューの技術が出版社や新聞社、制作会社の秘伝のタレみたいなやつなのかもしれない。
本当にインタビューライターになるための技術を教えてもらえる機会はないんだろうかね。
そう思いながら本屋をうろうろしていたらインタビューライター向きの本があったんです!!あったんです!!
「行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88」はインタビューの教科書だった
「行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88」は、「日経WOMAN」などの雑誌編集・取材執筆に携わり、ライターとして活躍されていた宮本恵理子氏の著書。
つまり、ガチのインタビューライターが書いたインタビューの指南書だ。
事前の準備から当日のインタビューまで体系的にまとめられており、再現性が高い
この本の最大の特徴は、再現性が高いこと。
インタビューのテクニックを学ぼうとして、検索したり、本を読んだり、セミナーに行ったりしたことがある人もいるかもしれない。
しかし、著者しかできないテクニックや大雑把な手法ばかり紹介されていて、誰にでもできないじゃんこれ…と思ったことはないだろうか。それは再現性がないからだ。
本書ではインタビューライターになるための技術が、明日からすぐに使えるくらいの粒度でまとめられている。インタビューライターの入門書にぴったりだ。
昨今のオンラインインタビューのコツまで網羅してあり、これ1冊でインタビューしてみようかなと思える本に仕上がっている。
中でも、注目したいポイントは以下の3つだ。
- 事前のリサーチって何すればいいの?リサーチは徹底的に調べろ!
- インタビューは最初の5分が勝負!制限時間を最大限に活かす。
- 良いインタビューにするにはわざと脱線する!本音を引き出すためのテクニック。
事前のリサーチって何すればいいの?調べて出てくる情報は質問するな!徹底的に調べろ!
まず、インタビューが決まったら、話し手のリサーチをする。
この事前のリサーチはとても重要だ。
リサーチがめちゃくちゃ重要!!
大事なことなので2回言った。
なぜなら、相手が「インタビューをさせてくれと言っているくらいだから、自分のことはきちんと調べているんだろう」と思っているからだ。
インタビューさせてくれと言って何も調べてきてません!お名前から教えてください!と言うわけにはいかない。
とはいえ、何を、どこまで調べるかは、気になるポイントだろう。
例えば、「創業5年目のスタートアップ経営者」に話を聞くことになったと仮定しましょう。すると、私はこんな情報をチェックします。
① 著書——本人が書いた書籍
② 取材記事——本人が取材を受け、話をした内容が載っているインタビュー記事やコラム
③ プレスリリース——本人が所属する企業・団体が発行している公開情報
④ 個人のSNS——本人の個人アカウントで発信している「Twitter」「Instagram」「Facebook」など、SNSの投稿
⑤ 講演やイベントのアーカイブ動画——本人が出演・登壇している一般向けの講演やイベントの内容を収録した動画宮本 恵理子. 行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88
著書があれば読み、著書がなければなるべく半年以内に書かれた記事を読む。過去に別の人にインタビューをされているなら、同じ質問を投げかけないように質問内容に工夫を凝らすこともできる。
一体どこまで調べるか、どのメディアからリサーチするか、その理由もあわせてたくさん記されている。
インタビューは最初の5分が勝負!制限時間を最大限に活かす
いざインタビュー当日。お互いに限られたインタビュー時間の中で、最大限良いインタビューにしたいと考えていることだろう。
しかし聞き手も話し手も緊張しているはず。焦りは禁物だ。
インタビューの制限時間を最大限に活かすには、相手の緊張を解きほぐす(アイスブレイク)ことが効果的。さらに、最初の5分で信頼関係を築くことも重要だと筆者は語る。
筆者はこのアイスブレイクと信頼関係を築くには、2つの方法があるという。
話し手に伝える方法は2つあります。一つ目は、言葉で。
冒頭の名刺交換や企画説明のついでに、「昨日話題になっていた〇〇さんの関連記事、読みました」とか「最近、御社の△△が話題ですよね」と一言添えてみましょう。
これは単にアイスブレイクの効果があるだけでなく、聞き手が事前にインプットしてきた情報を示すことになります。宮本 恵理子. 行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88 (p.121). ダイヤモンド社. Kindle 版.
1つ目は引用したように、言葉で伝える方法だ。
事前にリサーチした情報を話し、あなたの情報をここまで調べてきたんですよ、と示すことにもなる。
この本を読んで、私はインタビューは接客に似ていると感じた。話し手に気持ちよく喋ってもらうことこそ、より良いインタビューになるのだという。ならば、相手との信頼を築かなけければならない。初対面の相手なら、なおのこと重要だ。
2つ目の方法は、物理的に攻める方法。
著書がある人ならば、著書を持って行き、手元に置いてみるという方法だ。それが話のきっかけにつながることもあるという。著書がなければ、事前にリサーチして話し手に関連のある商品や物品でも良い。
具体的な方法を解説しているのも本書の魅力のひとつといえるだろう。
良いインタビューにするにはわざと脱線する!本音を引き出すためのテクニック
インタビュー中に話が途絶えてしまって話が続かないときは、相手の何気ない会話からつなげていくのも一つの方法だと筆者は語る。
たとえば、話し手が「先日なかなか寝れなくて…」という話をしていれば、「大丈夫でしたか?なぜ寝れなかったんですか?」と切り込んでみる。「最近プロジェクトが佳境に入っていて」ということが聞けるのだという。
このように、小さな会話を一つひとつ深堀りすると、自然と本人から本音が聞きだせる。
形式ばって質問票を作らなくても、「話の脱線」から自然と相手の本音や緊張しない自然な発言が生まれてくるのだという。
ほつれた糸をつついていると、糸がどんどん長くなってくる感覚に似ているかもしれない。
さらに、この話もどこから話の糸口を見つけていくか、会話のきっかけを見つけていく方法も具体的に語られている。インタビューに慣れている人も、参考書代わりとして置いておくのも良いだろう。
「行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88」をおすすめしたい人
「行列のできるインタビュアーの聞く技術――相手の心をほぐすヒント88」をおすすめしたいのは以下の人だ。
- これからインタビューライターになってみたい人。
- インタビューの方法を知っておきたい人。
- オンラインインタビューで注意したい点を調べたい人。
結局どうすればいい?インタビューを学ぶ機会がないならひとまず独学でやってみよう
出版社や新聞社、制作会社でなければインタビューをする機会なんて早々訪れない。
しかもWeb上で語られる手法は、再現性が低く、その人だけにしかないスキルがある前提で語られがちだ。
それならば、ひとまず本で学んでみて、家族や友人を捕まえて練習してみよう。