我々Webライターは、毎日、SEOと戦っている。日々SEO施策を打ち、適切なキーワード選定を頑張り、順位の上がったり下がったりに一喜一憂している。
でも、ユーザーはいつだって、突然、選定したキーワードの向こう側からやってくる。
ユーザーニーズってなんだ!!カスタマージャーニーとは!!ペルソナとは!!お前どこから来た!!とのたうち回るような言葉で検索してくる。
サーチコンソールを見ながら「なぜ、そのキーワードで検索した?」なんていつものこと。
網羅性ってなんだろう…私そんなこと書いたっけ…。
ひとつひとつの流入数は大したことはない。それぞれに対処するほどでもない。でも合計すると「なぜそれで検索した?」勢は地味に多い。
最近、Googleくんは頭が良くなって、ふんわりワードで検索しても当たりを引きやすくなっているらしい。
とはいえ、書いた覚えのないもので来られても、どう対策すりゃいいのさ?
頭を抱えているはずの私が、ある日、まさにそんな斜め上ワードで検索してしまったのだ。
君の名はナポレオンフィッシュ……ではなかった
まずはこれを見て欲しい。
ご覧ください、この見事なおでこ。
先日の取材写真の中の一枚。
— HIRO【雑記ライター屋さん&ネットショップ店長】 (@wsswriting) November 8, 2022
ジョジョのスタンドっぽい魚に命を狙われてた。(笑) pic.twitter.com/TPOg1ozwOr
Twitterのフォロワーさんがアップしていた写真を見て、つい思わず脊椎反射でリプをしていた。
よく確かめもせずに。
なんか後ろ姿で知り合いだと思って、雑踏で気安く声をかけるノリで。
ナポレオンフィッシュくん!!ナポレオンフィッシュくんじゃないか!!!
— イカイasばぶ@取材×SEOライター💉×3 (@kikukaku_yki) November 8, 2022
リプをしたあと気付いた。
ナポレオンフィッシュって、青くなかったっけ?
Googleくんを調べてみたら、すぐに見付かった。
こちらがナポレオンフィッシュ。

額は突き出しているものの、魚らしいシュッとした口許をしている。
どう見ても別人別魚です。本当にありがとうございました。
じゃあこいつは何者だ。

こいつは青っていうより黒ピンクっぽい…そして確か、コブがぶりんぶりんしてて、食べた人のチャレンジレポもあったはず。
私はGoogleを開き、そして検索のため、キーワードを打ち込んだ。
「下顎 出てる 魚」
……
…

彼の名前はコブダイ。不幸にもナポレオンフィッシュと間違われて呼ばれたが、条鰭綱スズキ目ベラ科タキベラ亜科コブダイだ。
ちなみに発見時の名前は、「カンダイのオス」。ついでに画像検索だと一発。
パソコンのブラウザならファーストビューで出会える。

下顎が出てる魚。見たまんま、間違ってないはずだ。
コブじゃねえのか( ゚Д゚)!ww
— HIRO【雑記ライター屋さん&ネットショップ店長】 (@wsswriting) November 8, 2022
でっすよね!!!
もし立場が逆だったら、私も同じツッコミをしたと思う。
でも、わかって欲しい。額のコブより下顎に目が行くじゃん!!!!!!
もし自分がコブダイでSEOするなら、キーワード選定は?
しかし、下顎を推す私だが、コブダイに対してSEO施策のためにキーワード選定をするなら、このあたりだ。
- コブダイ 味
- コブダイ コブ
- コブダイ 料理
- コブダイ 釣り
- コブダイ 魚 性転換
味や料理が入ってくるのは、食用としても楽しめるからだ。癖がなくもっちりした淡泊な白身だそうだ。
瀬戸内海では磯釣り客に人気だし、人懐っこいからダイバーにもモテモテのお魚だ。
コブダイだから、コブもはずせない。
ちなみにコブは成熟した雄にしかない。固い水風船のような感触で、中身は脂肪だ。
そしてコブダイは、生まれたときは全部メスで、一番大きくなった個体がオスに性転換して群れを率いる、「雌性先熟」という面白い生態を持っている。
間違っても、ここに下顎は入ってこない。
でも、下顎じゃん…?

コブダイを「下顎が出てる魚」で検索してもいいだろ!!なあそうだろ!Google!!!
叫んだところで、コブダイのサジェストに「下顎」は出てこない。
とはいえ、サジェストにないからといって、ユーザーが検索しないとは限らない。
最近のGoogleくんはふんわり検索しても、「えーっとあれ、こんな感じのあれ…」に対応してくれる。
Googleくんのイケメン具合に、永遠にばぶってオギャっていたい。
そして実際、オギャり人口は、どうやら徐々に増えている。今までは取りこぼされていたユーザーが、想定外のキーワードから流入してくる。
SEOのために選定したキーワードの、斜め上をかっ飛ぶユーザーたちを吸い込むのは画像SEOか
SEOのために、私たちは日頃、必死でキーワードを選定し、ユーザーのニーズを考え、網羅性を意識して記事を書いている。
その張本人が、斜め上の検索をしてしまったのだ。これはSEOに対する冒涜…というより、ただのユーザーニーズの多様化と、Googleの進化だろう。
昔は当たりを引くまで、あれこれキーワードを替えて検索していた。
しかし、最近は文章で検索する人も多い。
そして具体的とはほど遠い、曖昧で適当なキーワードでも、Googleくんは拾って答えてくれる。
さらに、それすらも面倒な人は、誰かが教えてくれるSNSへ飛び立つ。
みんな昔みたいに、素直にコブダイのことを「コブ 魚」で検索してくれない。下顎と言わずとも「なんか変な顔の魚」とか「おでこにょーん」とか、その辺で検索してくる。
正直、これにどう対策すればいいのか、私はまだ答えを持っていない。
なにしろ、SEO記事は「あのさ、あの、あれ、なんだっけ、あのあれなんだけど」に応える術がない。
メディアの記事は、基本的に一方通行。「多分ユーザーがいるの、この辺」に向かって、投げっぱなしジャーマンだからだ。
ただ、自分自身の行動を振り返ると、対策はある。
altに熱い思いを込めて解説を書き込み、画像周辺にキーワードをちりばめて、画像のSEOにしっかり対処することで、「画像検索」から能動的に取りこぼしユーザーを吸い込めそうだ。
ユーザーたちはコブダイの検索ワードにナポレオンフィッシュの横顔を見るか
SEOのトレンドはここ数年で一気に変わった。なにしろ、サーチエンジン最適化だから、ユーザーの検索傾向にあわせて、「最適」が変わる。
ユーザーにとって欲しい情報があり、問題が解決することこそが正義とはいえ、そのユーザーのニーズが刻々と変わるから、SEOは奥が深すぎて深海に沈みそうだ。
常に最新のトレンド、最先端を走り続けるしかない。英語を勉強しよう。
とりあえず、斜め上から「ねえ!あの顎の出てる魚の名前なんだっけ?」と聞いてくるユーザーに対し、答えられることはこれだ。
左がナポレオンフィッシュ、右がコブダイ。似てるけど違うのは色と顎だ。

そして残念なお知らせだが、コブダイのメスにはコブがないし、顎も張ってない。
そんな特徴がないコブダイ女子をふんわり検索するワードは、今のところ見つかっていないんだなあ。ばぶを。