ばぶのDMでこんな質問をいただきました。
Webライターとして仕事をしているのですが、なかなか単価が上がりません。
記事を書く仕事だけでなく、良かれと思って校閲もするようになったら、以後校閲の仕事もさせられるようになって仕事量が増えたのに単価が上がらないのです。
こんな時はどうすればいいですか?
たしかにフリーランスだとほかの人と差別化するために、さまざまな付加価値をつけがちです。
こんなに努力しているのに自分はなぜ稼げないのだろう?と疑問に思うこともありますよね。
実は仕事において、付加価値は必要ありません。
高単価な仕事をもらっている人は、自分を高く売れる方法を知っているから収入が高いのです。
ただし自分を高く売るためには、正しい努力をすることが大前提。方向性を間違えて努力すると、貴重な時間と労力を失ってしまいます。
そこで今回は以下の3つの内容を解説します。
- 付加価値をつけることで起きる3つのリスク
- 付加価値とは相手の期待を上回ることではない
- 付加価値なしで自分を高く売る方法
本業ディレクターとしてフリーランスの方々と付き合っている私が、ディレクター目線で語ります。
この記事で付加価値の本当のことを知ると、今後の努力の方向性も定まりますのでぜひ参考にしてください。
付加価値をつけることで起きる3つのリスク
クライアントに満足してもらうために、付加価値をつけると単価アップにつながる可能性があります。
しかし、付加価値をつけすぎると以下のようなリスクが伴います。
プラスアルファが当たり前になってしまう
クライアントに喜んでもらいたくて、ちょっとしたサービスをつけたりしますよね。
実はその付加価値が裏目に出ることがあります。
たとえば、頼まれてもいないのに1つの見出しに文字数がいくつあるかコメントで添付したり、画像を選定したり、良かれと思って付加価値をつけていないでしょうか。
過剰な付加価値をつけると、クライアントは自分が依頼した以上のことをしてくれるWebライターに慣れてしまいます。
良かれと思ってやったことが当たり前だと思い始め、次回からも同じレベルのサービスを求められるようになってしまうでしょう。
自分の仕事の質や量に見合わない報酬でやらされることになりかねません。
付加価値をつけると自分が疲弊する
付加価値をつけることは、同時に時間や労力がかかります。
善意でサービスをつけることは、自分のスキルアップにもなりますし、クライアントからの評価も上がります。しかし、自分の時給や体力を無視してサービスをつけようとすると、自分が疲れてしまう一方です。
そのうえ、複数の仕事を抱えているときにプラスアルファをつけようとしても、できない場面がやってくるはずです。
仕事のやる気や集中力がなくなってしまいますし、クライアントからの信頼も失ってしまいます。
自分の健康が犠牲になったり、自由時間も少なくなってしまう悪循環にはまってしまいます。
要らない付加価値をつけたことでクライアントの評価が落ちる
付加価値をつけることでクライアントに喜ばれることがありますが、必ずしも正しいわけではありません。
クライアントは自分が求めている目的に応じて、必要な内容や仕事量を依頼しています。自分が良かれと思ってサービスをつけたとしても、クライアントのニーズに合わない場合は、逆効果になる可能性があります。
たとえば、記事の中に関係ないキーワードを無理に盛り込むと、読者に伝わりにくくなってしまいます。難しい言葉や表現を使って、クライアントのトンマナと違い注意される可能性もあります。
その場合、クライアントは自分の仕事に対して不満や不信感を抱き、評価が下がってしまいます。
付加価値をつけることで一時的に大きな成果はでるかもしれませんが、長期的に維持できなくなっていくでしょう。
付加価値を付けると、必ずどこかで綻びが起きます。
しかし、他の人と差別化しなければ仕事が受けられないのも事実。
そこであらためて、付加価値とは何かということを知っておきましょう。
付加価値とは相手の期待を上回ることではない
そもそも付加価値とは何か?と聞かれたときに、どんなことが思い浮かぶでしょうか。
多くの人は「付加価値=商品にプラスアルファすること」だと考えているのではないでしょうか。
実は付加価値とは、相手の期待を上回ることではありません。
本当の付加価値とは、顧客のニーズに合ったものを提供することです。
無理に付加価値をつけるのは逆効果です。相手が求めていない情報や機能を提供したり、相手の意向や目的に反する内容や表現を使ったりすることは、相手にとってメリットがないどころか、デメリットになる可能性があります。
過剰な付加価値をつけるくらいなら、最初からやらない方がマシなのです。
相手にとっていらない付加価値=自分の仕事に自信がないから、余計なことをしてしまうのと同じです。
付加価値なしで自分を高く売る方法
付加価値なくして自分を売り込むためには、以下の方法があります。
顧客が本当に欲しいものを基本サービスに加える
まず1つ目は、顧客のニーズを考えて本当に欲しいものを基本のサービスとして加えることです。
顧客のニーズとは、顧客が本当に困っていることから生まれます。
たとえばWebライターが書いた記事が使われるシーンはおおよそ以下の2つに集約されます。
- 楽してSEO対策をして多くの人に自社の製品を知ってもらいたい
- 楽してセールスライティングをしてもらって自社の製品を買ってもらいたい
この「楽して」というところが重要です。人は誰だって楽したいのです。
たとえば1つの見出しの文字数が何文字あるか親切に書いたところで、楽して自社の製品を知ってもらいたい!というニーズに刺さるでしょうか?答えはNOです。
Webライターの記事を求めている顧客には、以下のような付加価値の方が刺さるのです。
- 記事をそのままアップできる品質にする
- SEO対策で必ず上位に上がってくるように再現性を高めてアピールする
- コンバージョン率を高めたい顧客にセールスライティングを意識した記事を作る
大切なのは、顧客が本当に必要なサービスができることです。顧客にとって要らない価値を与えてしまうと、自分の作業時間が膨大に増えるだけで、骨折り損のくたびれ儲けになってしまいます。
正しい努力の方向性を知っておくことが、自分を高く売ることにつながっていきます。
お金に余裕がある人に売り込む
自分を高く売るためには、お金に余裕がある人に売ることが大切です。
お金に余裕がない人に積極的にアピールしたところで、予算が限られているので単価アップにはつながりません。
また、お金に余裕がない人と仕事をすると、以下のようなリスクが発生します。
- もっと安くしてほしいと値切りされる
- 納品した後に品質が良くないと値切られる
- 要らなくなったので急に取引が中断となる
お金に余裕がない人は、なんとしてでも損を避けたいと行動します。特に個人が相手の場合は要注意。安い単価で酷使される可能性があります。
一方、お金を持っている人は自分の手持ちのお金が多いので、少しの値段の違いは気にしなくなる傾向があります。
たとえば、車を買うときに110万円払うんだったら109万円でも111万円でも大して変わらないと感じるでしょう。これは行動経済学で感応度逓減性(かんのうどていげんせい)と呼ばれています。
つまりお金に余裕がある人ほど自分を高く買ってくれる可能性が高いのです。
なるべくお金を持っている人から仕事を請けられるように、取引をする相手を見極めることが大切です。
なるべく企業からの案件、それも一次請け、二次請けを目指していくのがおすすめです。
オプションサービスをチラつかせる
しかし、上記の方法でもなかなか今すぐに実行できないと感じることもあるでしょう。
そういう時はオプションサービスとして自分ができることをチラつかせる方法がおすすめです。
たとえば、以下のようなオプションサービスが考えられます。
- 記事に関連する図解を作成してユーザビリティを上げる施策をする
- 次回の記事のキーワードを選定して提案する
- SEOツールを使って記事の品質や効果を検証する
上記のようなサービスを、「本来オプションサービスで有料なのですが、今回だけオマケをつけておきました」と、相手にとって良かったという体験を与えましょう。要するに無料でお試しさせるのです。
次回以降は有料になってしまうと伝えておけば、単価アップの交渉にも使えます。
まとめ
フリーランスとして自分を高く売るために、付加価値をつけなければならないと考えてはいけません。
顧客のニーズにかみ合わない付加価値をつけてしまうと、自分が疲弊していく一方です。
しかし、自分を高く売るらなければ飯を食っていけないことも事実。
そんなときには、以下のことを覚えておきましょう。
- 顧客のニーズとかみ合わないことをしない
- お金に余裕がある人から仕事を請ける
- どうしても付加価値を付けるなら次回は有料であると伝える
私がこの考え方まで掘り下げられたのは、この本を読んで学びました。
社員の平均年収が2000万円を超えるというキーエンス社が題材になった本です。
キーエンス社は顧客のニーズを超えた部分はムダという考え方で、日本の時価総額ランキングでNTTを抜き、3位までのぼりつめました。
そのキーエンス社がなぜ結果が出る企業になったのか、ノウハウを凝縮した本です。
フリーランスの仕事にも活用できるので、ぜひ読んでみてください!